この記事は、前回のこの記事のつづきです。
前回までのおさらい
「生きることは、それが自分にとってよいのであればよい」
ということを1回目の記事で書きました。
そして、この中で「自分にとって」と「よい」という言葉がポイントだとも書きました。
この考えのもと、前回までに「自分にとって」の部分を「自分以外にとって」に置き換えた例を大きく分けて2つ見てきました。
具体的には、以下の2つに置き換えて見てきました。
「自分の見知らぬ誰か(何か)にとって」
「自分の知っている誰か(何か)にとって」
そして、前回の記事では「自分の見知らぬ誰か(何か)にとって」による価値観と「自分にとって」による価値観のずれが大きければ大きいほど苦しくなるということを書きました。
今回の記事では、「自分の知っている誰か(何か)にとって」による価値観と「自分にとって」による価値観のずれが苦しみをもたらすことについて書きます。
生きることはよいことか
1.「自分にとって」について
1-3.「自分以外にとって」ではなぜダメだと考えるのか
1-3-2.「自分の知っている誰か(何か)にとって」がダメな理由
見出しでは簡潔にダメと書いていますが、要は上述の通りずれがでかいと苦しみをもたらすということです。
はい。
それでは、前々回の記事であげたAさん、Bさん、Cさんの例で具体的に考えてみます。
簡単におさらいします。
Aさんは、結婚して親が喜びました、さらに子どもができて親が喜びました。
だから「Aさんが生きて結婚し子どもができたことは、Aさんの親(自分の知っている誰か)にとってよいので、Aさんが生きているのはよい」というものでした。
Bさんは、地域の小学生が安全に登校できるよう、毎朝交差点で見守ってくれたので小学生もその親も学校も大変感謝しました。
だから「Bさんが生きて交差点で見守ってくれたことは、地域の小学生やその親や学校にとってよいので、Bさんが生きているのはよい」というものでした。
Cさんは、営業能力が高く会社に莫大な利益をもたらし続けたので会社はCさんを高く評価しました、また顧客の評判もとてもよいです。
だから「Cさんが生きて会社の営業を担当していることは、会社や顧客にとってよいので、Cさんが生きているのはよい」というものでした。
AさんもBさんもCさんも、
「生きることは、関係する〇〇(さん)にとってよいことなんだなぁ」
と考えてみるといい気分になるかもしれません。
しかし、厳密に心の底からいい気分になるには「生きることは、関係する〇〇(さん)にとっても自分にとってもよいことなんだなぁ」と思えた時だと私は考えます。
Aさん、Bさん、Cさんそれぞれで考えてみます。
Aさんは結婚せずずっと独身でいたいし、子どももあまり好きでなかったとします。
そんなAさんが、親にとってよいという理由で結婚して子どもをつくったら、「親にとっていいことしたなぁ、生きるっていいことだなぁ」と心の底から思うでしょうか。
ここでは、結婚したら考えが変わるかもしれないとか子どもができたら考えが変わるかもしれない、ということは関係ありません。
たしかに、そういう可能性はあるでしょう。
特に子どもに興味がなかった人が子どもができた途端、子煩悩になるなんてことは私の友人たちを見てもよく理解できます。
でも、その可能性があるから「親にとって」による選択でよいということにはなりません。
「親にとって」を優先した結果、「自分にとって」の価値も結果的に満たすというパターンは確かにあるかもしれません。
でもそれはたまたま結果オーライだったということに過ぎません。
ともかくここでは「親にとって」を優先した結果、「自分にとって」の価値とずれてしまったパターンについて書いています。
「親が結婚しろ、孫の顔が見たいというから、結婚して子どもをつくったけど、毎日がしんどい、いっそ離婚して独りになりたい」みたいなパターンです。
尚、ここでは結婚の是非、子どもをもつことの是非を言いたいのではありません。
だから「少子化なのだから子どもをつくるべきなのにこんなことを書くのはおかしい」というのは少なくとも一連の記事に対する批判としては的外れな指摘です。
あくまでも「自分にとって」の価値観と現実を一致させた方が生きやすいよねと言っているに過ぎません。
「皆がそんな自分本位の生き方になったら社会など成り立たない」という指摘もあるかもしれません。
上述の通り、これも的外れな指摘です。
しかし、これに対してあえて私の考えを述べるならば「そうかもしれませんね」というだけです。
私が社会があるおかげで生きていけているのは事実です。
でも、「社会のためになることを考える」ということに今はさほど関心が向きません。
いや、今だけではなく今後もそうかもしれません。
ともかく、そういったことよりも「自分にとって」の価値観と現実を一致させた方が生きやすいですよ、ということを書くことに関心が向くのでただただ書いています。
ここで「自分にとって」よりも「社会にとって」を優先してかくことは、それこそ価値観のずれが生じ、書くのが苦しくなります。
少し脱線しました。
話を戻します。
ともかく、Aさんが「親にとって」を優先した結果、「自分にとって」の価値観とのずれを感じ、離婚したい、離婚した方がよいと思うのならば離婚すればよいと思います。
Aさんの親や配偶者や子どもは悲しむかもしれません。
でもそれは、それぞれの方の課題であってAさんの課題ではありません。
私はこの考え方を『嫌われる勇気』を読んで、つまりアドラーの考え方を知って身につけました。
「生きることは、それがAさんにとってよいのであればよい」のです。
Aさんがよく考えて、自分の責任のもと、自分で決断すればよいのです。
私も離婚しましたが、親や周囲は悲しみました。
親や周囲を悲しませるようなことをしてしまったなぁとは思います。
それは事実です。
伝える時は気まずかったです。
それも事実です。
でも、それが離婚を躊躇するような理由には全くなりませんでした。
離婚をすることは今後私が生きていくうえで私にとってよいと思ったので決断したまでです。
自分の人生は自分でコントロールしてよいのです。
さて、Aさんの例はこのくらいにして、BさんとCさんについても考えてみます。
しかし、ここまででだいぶ長くなってしまったのでBさん、Cさんについては簡単に考えてみます。
Bさんは会社を定年退職した後に交差点に立ち始めました。
しかし、Bさんはとても朝が苦手でした。
定年後はやっとゆっくり遅くまで寝ていられると思っていました。
しかし、もともと交差点に立っていた先輩から指名されて、本当は断りたかったのですが、その人への義理もあって、仕方なく毎朝交差点に立つことになりました。
毎朝半分寝ぼけた状態で交差点に立っているだけに、万が一事故でもあったらと考えると気が気ではありません。
Bさんは「自分にとって」は交差点には立つのはちょっと責任が重すぎると思い苦痛なのでした。
しかし、「自分の知っている学校や地域の方々にとって」Bさんが交差点に立っているのはよいことでした。
最後にCさんの例です。
Cさんは、時間外も休日も使い、プライベートの時間を削って労働し、完璧に仕事をこなしました。
それが営業能力の高さにつながっていたのでした。
しかしCさんは毎日ヘトヘトで時々「何のために自分は生きているのだろう、死んだ方が楽だなぁ」などと考えるのでした。
一方「会社にとって、そして顧客にとって」Cさんは高く評価され、今いなくなられては困る存在でした。
Cさんは、いくら会社から評価されても「自分にとって」生きることは苦しいなぁと考える毎日なのでした。
以上、Aさん、Bさん、Cさんの例を書きました。
あまりにも単純化しすぎていると思われるかもしれません。
書いていて自分でもそう思いますw
しかし、私が言いたいこともやはり単純です。
「自分にとって」と「自分の知っている誰か(何か)にとって」この2つの価値観がずれている時は、「自分にとって」に合わせましょう。
ただ、それだけのことなのです。
1-4.「自分にとって」で生きる決意をする
1-3.で述べてきた通り、「自分以外にとって」と「自分にとって」の間で価値観にずれが生じていると苦しんでしまいます。
これが私が「自分にとって」を重視する理由です。
社会で生きていくうえでは、これを貫くことはなかなか難しいことなのかもしれません。
しかし、自分の人生は自分でコントロールすると決意するしかありません。
要は自分の人生は自分の責任のもと自分で決めるということです。
人によって環境は様々でしょう。
よい環境にある人もいれば、悪い環境にある人もいるでしょう。
世の中が完全に平等・同質になることなどあり得ないので、それは仕方ありません。
運命と割り切るしかありません。
過去は変えられませんが、今の行動は変えられます。
今の行動が変われば未来が変わります。
私は『原因と結果の法則』という本が好きでもう何回も読んでいます。
この本では、環境は自身を映し出す鏡だと言っています。
そして私たちは心の中で考えたとおりの人間になるとも言っています。
だから「自分にとって」という生き方、言い方を変えれば、自分で考えて自分で決断する生き方をすれば、環境も自分も考えた通りになると考えます。
そしてそれはきっとよい生き方なのだと私は思います。
ところで、ここまで「よい」という言葉を何気なく使い、何度も書いてきました。
1つ目のポイント「自分にとって」はここまでにして、次回はもう1つのポイント「よい」について考えていきます。
つづく↓
↓この本の感想を書きました
posted with カエレバ
池田 晶子 毎日新聞社 2014-11-26
読んでいただき、ありがとうございました。
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