【ネタバレあり注意】映画「スリ」を観た感想:罪と罰。手さばき鮮やか


 

 ロベール・ブレッソン監督の映画「抵抗」の感想を書いた記事で実は「スリ」が観たかったのだが、TSUTAYAに行ったら既に借りられていたので観られなかったと書きました。

 で、もう一度行ったら1本だけあったので借りました。

 この映画「スリ」は「抵抗」と同様、ロベール・ブレッソン監督の作品です。

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なぜこの映画を観たか

 そのスリの手際が鮮やかに撮られているとの評判だったので、それが観たくて借りました。

 観たら実際に華麗なスリッぷりでした。

 以下、感想を書いていきます。

 一部ネタバレもあるので、まっさらな状態で観たい方はここでページを閉じることをお勧めします。

 では、行きます。

どんな映画か(ネタバレあり)

 一言で言うと、ドストエフスキーの『罪と罰』みたいだと思いました。

 試しに「スリ 罪と罰」でググったらそれっぽいタイトルがやっぱり並んでました。

 ロベール・ブレッソン監督は別の映画でも『罪と罰』をモチーフにした映画を撮ってるみたいですね。

 ちょっとそれも観てみたい気がします。

 もっとも、私自身『罪と罰』を読んだのはもう10年以上前ですし、最後まで読まずに途中で挫折した気がするので、覚えている範囲で『罪と罰』っぽいという印象を持ったに過ぎないのですが。

 どこでそう思ったかと言うと、主人公がスリで捕まって証拠不十分で釈放された直後に、外で偶然刑事と出会ってやり取りした場面です。

 「受け売りですが」と前置きしたうえで、「特別優秀な人間は罪を犯しても許される」的なことを言っていました。

 これは『罪と罰』で主人公のラスコーリニコフが「殺人を犯したけど選ばれた人間なので許される」的な考えを持っているのと同じです。

 というか、「受け売りですが」と言っている時点でまさしく『罪と罰』からの受け売りなのでしょう。

 あと、主人公が心がまっすぐな女性に救われる的なところも『罪と罰』と同じですね。

 その女性の家族(親)が崩壊状態というところも同じです。

 そんな境遇でもまっすぐな心(信仰心)を持ち続ける女性に主人公は救われるわけです。

 あと『罪と罰』とは関係ないですが、スリの描写が鮮やかでした。

 特にスリ仲間3人での連携プレーの場面はそれはそれは鮮やかな手さばきでした。

 このスリの様子を観てたらこの動画を思い出しました。

 

 もう手品師みたいな感じですね。

 「スリ」ではこんな感じの鮮やかな手さばきが観られます。

感想

 三点書いてみます。

①釈放直後の序盤の刑事とのやり取りがよかった

 上でも述べましたが、釈放直後に刑事と主人公がやり取りする場面があります。

 そこで特殊な主人公の哲学というか思想というか考えが示されるわけですが、それに対する刑事の返しと主人公の返しがよかったです。

 主人公「特別優秀な人間は罪を犯しても許される」

 刑事「特別であるというのは誰が判断するのか」

 主人公「自分です」

 刑事ナイスツッコミです。

 当然そうツッコミますわね。

 しかし、主人公は自分が特別な人間だと思っているわけだから(心底そう信じているのか、方便なのか実は微妙だが)、判断するのは当然自分ということになるわけです。

 私はなんかこういうやり取りものすごく好きですね。

 もしかすると『罪と罰』でもこんなやり取りがあったのかな?

 なんかあった気がします。

 私が見た限り主人公は自分が心底特別だと思っているようには見えないので、これはただの方便だと思いますね。

 本当に自分が特別だと思っていたら、メンタル頑丈で、女性に救いを求めることもなく、超人的に自分をよりどころにして泰然としていると思うのですが、そのようには見えませんでした。

②スリの連携プレーが鮮やかだった

 これはもう百聞は一見に如かずなので、観ていただければと思います。

 繰り返しになりますが、上記動画のような感じで流れるように財布とかバッグとか時計とか札束が、するすると手から手へと流れていきます。

 上の動画は7分程度なので観ればイメージつかめると思います。

③淡々と話が流れていくのが良い

 私はそこに良さを感じるのですが、逆に心理描写が少ないことを残念がるレビュアーもいるみたいですね。

 そこは趣味の問題なのかなとも思います。

 私は、動きとか行動を淡々と描写する系の映画がわりと好きです。

 例えば、このブログでも感想を書いた脱獄系の映画「穴」も穴を掘っているところを延々と流したが故に心理描写が少ないことを残念に思う方もいるようでした。

 でも、私はこの穴を掘っているところこそが面白いと思ってしまう方なんですね。

 その方がリアルな感じがしていいと思っている節があります。

 この映画で言えば、スリの様子がもう少し長く撮られていても、私的にはたぶん飽きないで観ることができると思います。

 それほど見せる映像だったからです。

 あと、最後捕まってから主人公は女性への気持ちに気づくのですが、その辺も淡々と急激に短く描かれています。

 好きになったら急激にというのは、ある意味正しいと思うので、まぁ確かにそんなもんだろと思います。

 ただ、主人公は釈放されたらまたスリに手を染める気がします。

 と言うのも、主人公は、最後スリの現行犯で捕まってしまうのですが、「ちょっとおかしい」と感じた男のポケットに手を入れて、案の定それが刑事で手錠をかけられてしまうのです。

 「おかしい」と気づいているのに手を伸ばしてしまうのは、これは病的でしょう。

 というかそれ以前に何度もやめるチャンスはあったのに、捕まるまでやり続けてしまうところが病的ですね。

 いや正確には一度捕まってるし(証拠不十分で釈放されたけど)、その後も警察には突き出されなかったもののスリがばれたこともあったし、そういう意味では捕まるべくして捕まったわけですね。しつこいですが、その辺が病的です。

 おわり。

読んでいただき、ありがとうございました。

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合掌

 

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